近世・近代における中国俗文学的形式の受容

Title
近世・近代における中国俗文学的形式の受容
Author(s)
나공수
Keywords
中国俗文学(ChineseLiterature)、文学形式(ChineseLiterary Form)、回目(Content)、結びの常套語(Closing remarks)
Issue Date
201008
Publisher
고려대학교 글로벌일본연구원
Citation
일본연구, no.14, pp.153 - 180
Abstract
本稿では、日本の文学にそのまま取り入れられた中国俗文学の形式について考察した。特に、「回目」という小説の始まりの部分と「章回」の終りの部分に注目した。中国俗文学の大きな特徴は「章回小説」である。「章回」というのは、各小説の目次が「章」や「回」になっていることである。この「章回小説」は、日本には中世までは中国俗文学のようなものはなかった。中国では「巻」のものもあるが、時代の流れにより「回」や「章」になっているものが増えていく。さらに「回目」(目次)のように、二行からなる目次が流行する。こういうスタイルが日本にも伝えられ、読本、通俗和訳本、日本人作白話文、漢文戯作の一部、明治期の文学にも影響を及ぼしている。「回」そのものは、言文一致の創始期の作品にも現われているが、二行の「回目」は用いられなくなる。さらに、「章回」の話の導入部に「話説ㆍ却説ㆍ閑話休題」のような話題転換語も多数用いられ、中国俗文学の体裁を帯びている作品が多く見られる。中国俗文学における「章回」の終りの部分には「結びの常套語」が用いられる。これは、一般的には「畢竟」を伴いつつ「且聴下回分解」をもって結ぶという形式である。「且つ下回の分解を聴け」の意味で、また次の話が続くことを語り手が示す方法である。日本の文学にもそのまま受入れられて、近世の読本、極一部の通俗和訳本、日本人作白話文、明治期の漢文小説の一部にも用いられているが、特に、明治期の翻訳ㆍ政治ㆍ講談などの文学作品に多数用いられている。明治期の場合は20年代以前の作品に集中していて、「且聴下回分解」のような原形を保っているものもあれば、「看官」「次回」「次巻」「次編」のような指標を用いる場合も多い。このように、中国俗文学の形式をそのまま日本文学に導入している作品が多く、中国俗文学が近世や近代の日本文学に影響を及ぼしていることが分かった。しかし、日本における「章回」小説の「回目」や「結びの常套語」は、言文一致の創始期である明治20年代以後は特殊な資料以外には用いられなくなり、一時的な流行であったことがわかる。
URI
http://hdl.handle.net/YU.REPOSITORY/23761
ISSN
1598-4990
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